タネーエフの交響曲集

Naxos8570336タネーエフ 交響曲第1番 第3番
トーマス・ザンデルリンク(指揮) ノヴォシビルスク・アカデミック交響楽団
Naxos 8.570336

古楽続きなので、ちょっと一服。

タネーエフの交響曲は、第4番が比較的知られていて、あとは第2番に録音があったくらい。1番、3番は失われてでもいるのかと思っていたがちゃんとあるらしい。最近ChandosとNaxosから立て続けに録音が出た。

第3番(1884)は、アレンスキーに献呈されたという40分を超える立派な曲。いかにもタネーエフらしい理屈っぽい曲だが、オーケストレーションが地味ながらつぼを押さえており、かなり聴かせてくれる。控えめなロシア風味も奥ゆかしくて大変よろしい。第1番(1874)は、音楽院の卒業作品で、タネーエフ18歳の作品。第1楽章は優等生ぶりを発揮しているが、後半(特に終楽章)は少し弱い。チャイコフスキーの2番の交響曲に触発されたというが、言われてみると重なるところは多い。ちなみに終楽章のメロディはストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」で出てくるメロディと一緒。ストラヴィンスキーは、タネーエフを尊敬していたとライナーノートにはあるが、接点はあったのかな。

演奏は、トーマスの方のザンデルリンクとシベリアのオケ(かつてカッツのオケ)。無理に盛り上げようとせずに丁寧に音を積み上げていくスタイルがタネーエフの音楽と相性が良い。録音エンジニアに息子コンドラシンの名前があるのも、隠れたポイント。

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グラズノフのオルガン作品集

Nf9940グラズノフ オルガン作品集
前奏曲とフーガop.93,op.98,op.62 幻想曲op.110

ズヴェギニツェヴァ(og)
NorthernFlowers NF9940

グラズノフのオルガン作品を集めたもの。これで全てらしい。前奏曲とフーガのop.93(1906)とop.98(1914)は,いずれも10分程度の作品。前者は,当時ペテルブルクで活躍したオルガン奏者のために,後者はサン=サーンスのために書かれた。グラズノフは,若い頃,ヴァイマールでサン=サーンスと出会ったことがあり,長らく交流を続けていたということだ。サン=サーンスにも前奏曲とフーガという同規模のオルガン曲があるが,それに触発されたのだろうか。op.62は,1899年作曲のピアノ曲をサバニエフというオルガニストが編曲したもの。幻想曲は,1934年の作品であり,1936年に亡くなったグラズノフにとっては,最後の作品の一つ。

いずれの曲も隙のない良い曲だと思う。グラズノフっぽさというのはあまり感じられないが,程よい品の良さとしっかりした構成,フーガの地に足のついた盛り上がり方等,安心して聴いていられる。

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デニス・ブレインのチャイ5

Opk7029チャイコフスキー 交響曲第5番 「くるみ割り人形」組曲
カラヤン指揮 フィルハーモ二ア管弦楽団
オーパス蔵 OPK7029

結構以前から探していた「デニス・ブレインのチャイ5」。このたび目出度く復刻されたので早速飛びついた。

お目当ては例の第2楽章のホルン・ソロだが、やはりこの人は凄い。全く無理を感じさせないフレージング、それとなんとも上品なタンギング、ビロードのような音色。はっきり言ってチャイコフスキーの音楽を聴くというよりもブレインの音色を聴くといった感じになってしまうのだが、この幸福感はなかなか味わえるものではない。録音状態も鑑賞には十分。

本来の主役であるカラヤンだが、柔らかく包み込むような実に自然な息遣いで、堂々とした演奏。カラヤンは、フィルハーモニア時代が最高という声も多いのも理解できるような気がする。交響曲も素晴らしいが、くるみ割り人形はさらに素晴らしいと思う。トレパークの切れ味、花のワルツの優雅さ、実に暖かい雰囲気に包まれた演奏で一聴の価値がある。

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グラズノフの交響曲第8番~ポリャンスキー

Chandosグラズノフ 交響曲第8番 プーシキン生誕100年記念カンタータ 叙情的な詩
ポリャンスキー指揮 ロシア国立響 同合唱団

グラズノフは後年になるほどダメになるという先入観があったが、先日のスヴェトラーノフの全集で少し認識が変わってきた。特に気になっていたのは、完成されたものとしては最後の交響曲である8番。もう少し聴きこんでみたいと思い、ポリャンスキーの全集からの1枚を購入。

やはり、この曲は放っておくには勿体ない魅力的な作品と感じた。なんとも自然な高揚感に溢れた第1楽章は、グラズノフらしい安定感が良い方向に向いているし、メストというグラズノフらしからぬ発想記号の付された第2楽章はやはり深い(ショスタコの「証言」ではボロクソにされているグラズノフだが、この楽章だけは評価されている)。第3楽章は、それまでのグラズノフとは全く異なる、苛立ち系スケルツォ。第4楽章もなかなかうまくまとめている。ポリャンスキーの演奏は、スヴェトラーノフよりも自然な佇まい。全体のバランスをうまく整えながらオケ全体を一つの音として響かせる、合唱指揮者らしい音づくりが、この曲の曲想とうまくかみ合っている。特に、スヴェトラーノフではぎくしゃくした感じがあった終楽章を気持ちよくまとめているのが良い。

「プーシキン生誕100年記念カンタータ」は、プーシキンを讃える詩がひたすら美しく歌われる、内容的にはどうでも良さそうな曲だが、「四季」あたりで聴かせるのと同じようなグラズノフ・サウンドは、やはり心地よい。「叙情的な詩」は、交響曲第1番よりも前に書き始められたという作品。もの悲しい旋律が寄せては返す波にように繰り返される10分程度の作品だが、なかなかの佳作。チャイコフスキーが気に入っていたそうだ。これらの作品でもポリャンスキーの柔らかく素直な音づくりがうまく生きている。

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グラズノフの交響曲全集~スヴェトラーノフ

Venezia_cdve04259グラズノフ 交響曲全集(第1番~第8番) 交響詩「海」
スヴェトラーノフ指揮 ソヴィエト国立響

メロディアに録音されていたスヴェトラーノフのグラズノフ全集が、ヴェネチアから格安ボックスとなって発売。こういう機会がないとグラズノフ全集を聴くことなどないだろうと思い、思い切って購入。

交響曲第1番は、グラズノフ16歳のときの作品だが、若々しさと品の良さがほどよく調和した佳作。第2番は、演奏時間50分近い大作。個々の楽想は、グラズノフらしいやや甘さを排したロシアンメロディでなかなか魅力的なのだが、展開が今ひとつでちょっと長く感じられる。第3番も、50分を超える大作。こちらは起伏に富んだ意欲的な作品。それでも後半が少し長いか。第4番は、珍しく3楽章形式。この曲はまとまりのある秀作。印象的な冒頭主題が各楽章に統一感をもたらしている。続く第5番も見事な作品。冒頭の広がりのある力強いテーマ、元気の良い終楽章など、聴きどころが満載。第6番もドラマティックな聴き応えある作品。2楽章の変奏曲が面白い。7番の交響曲も魅力的な作品だ。牧歌的な1楽章。比類ない美しさの2楽章。推進力のある3楽章。終楽章が少しやりすぎだが、隙のない素晴らしい曲。8番はそれまでのグラズノフらしさは薄いが優れた作品だと思う。ブルックナーを思わせるような緩徐楽章の深さは聴きもの。メロディよりも動機の積み重ねに重点を置いたグラズノフの新境地なのだが、これが事実上最後の交響曲となってしまっているのが残念。「海」という交響詩が収められているが、比較的若い頃の作品でやや冗長だが表現主義的な面白い作品。

グラズノフというと、ショスタコと繋がりがあったり、20世紀の人のイメージがある(1936没)のだが、実はこの人の全盛期とチャイコフスキーの全盛期は重なる。並べてみると、チャイコ4番(1877)、グラ1番(1881)、チャイコ5番(1888)、チャイコ6番、グラ4番(1893)、グラ5番(1895)、グラ6番(1896)、グラ7番(1902)といった感じ。ちなみにこの後の世代の代表的なところは、ラフ1(1895)、スク4(1905)といった感じで、グッと音楽の潮流が変化するなかで、ややついていけなかったところが、評価がいま一つな理由か。しかし、今回通して聴いてみると、まるでバレエ音楽のような夢のようなスケルツォの響き、緩徐楽章のハッとするような美しさなど、この人ならではの魅力は捨てがたいものがある。

スヴェトラーノフの録音は、1989年に一挙に録音されたものらしい。4番、5番あたりは普段からのレパートリーなのかなかなか美しく仕上がっているが、他の曲は、ポイントはきちんと押さえており、曲の魅力は十分に伝わるレベルだが、やや荒さも目立つのが残念。

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ロシアのホルン~ノイネッカー

Kochschwann_313572グリエール ホルン協奏曲 4つの小品 グラズノフ 夢 セレナーデ 田園の唄 シェバリーン ホルン小協奏曲
ノイネッカー(hr) アルベルト指揮 バンベルク交響楽団

グリエールの名作ホルン協奏曲の定盤中の定盤として名高い1枚が、何故か激安で売っていたので購入。

ノイネッカーと言えば、フランクフルト放送響の顔としてマーラーなどで素晴らしい演奏を残しているだけでなく、最近はソリストとしてあちこちに引っ張りだこらしいが、彼女の魅力が最大限に発揮されているのが、このアルバムだろう。音域に関係なく安定した伸びのある綺麗な音色がこの人の持ち味だが、このたびこの録音を聴いて強く感じたのは、フレーズ感の素晴らしさ。楽器の性質上、ブレスをどうしてもとらなければならず、それが時として音楽表現の障害になることもあるのだが、ノイネッカーは、このブレスのとり方が絶妙で、フレーズが途切れることが全くない。前のフレーズの最後の響きを残したまま次のフレーズに入るのが非常に上手いのだ。これは全編が息の深い歌で満たされたグリエールの協奏曲では実に効果的。そのほかの小品も安定した出来栄えだし、録音の少ないシェバーリン作品も貴重な録音。

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フェドセーエフのチャイコ2番

Reliefcr991055チャイコフスキー 交響曲第2番 「眠りの森の美女」組曲
フェドセーエフ指揮 モスクワ放送響

RELIEFから出ているフェドセーエフのシリーズが安くなっていたので、何枚か注文。チャイコフスキーの全集の中からは、第2番を選んでみた。

たっぷりとテンポをとってオケを十分に鳴らした快演。チャイコフスキーの交響曲の中では民族色が強い曲であるが、民謡風のテーマのたっぷりとした歌いっぷりは、このコンビのもっとも得意とするところ。後期交響曲に比べると多少冗長なところはある曲だが、このコンビの水を得た魚のような生き生きとした演奏では、そんなことを全く感じさせない。終楽章の低弦とティンパニのしっかり効いた巨大な響きも素晴らしい。

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ユロフスキのマンフレッド交響曲

Lpo0009チャイコフスキー マンフレッド交響曲
V.ユロフスキ指揮 ロンドン・フィル

ロンドン・フィル・レーベルの新譜。2004年のライヴ録音。

今回もユロフスキは、チャイコのマンフレッド交響曲と、ひとくせある選曲。しかし、今回も素晴らしい演奏だ。表情付けが実に濃密でドラマティック。この曲には打ってつけの表現だ。ゆっくりしたテンポで噛み締めるようにすすめられる1楽章。さらっと流しているようでありながら、細かく魅力的な響きを作っている2楽章。特に、中間部の優しいメロディの歌わせ方は絶品。3楽章でも綺麗な牧歌を聴かせる。4楽章のドラマティックな展開も見事。機械的なところがなく、どの部分も手作りで丁寧に作りこんでいるような感じがする。

ロンドン・フィルとこの指揮者は相性がとてもいいように思う。かつてテンシュテットがこのオーケストラと繰り広げた熱演の数々を思い起こさせるような、熱い響きがとても魅力的だ。息子ユロフスキ、ますます注目である。

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トレチャコフ・エディション3

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サン=サーンス ハバネラ 序奏とロンド・カプリチオーソ ベートーヴェン ロマンス第1番 ショーソン:詩曲 ゴダール カンツォネッタ クライスラー ウィーン奇想曲 愛のよろこび 愛のかなしみ 美しいロスマリン パガニーニ  ラ・カンパネッラ 奇想曲第17番

キタエンコ指揮 モスクワ・フィル テミルカーノフ指揮 レニングラード・フィル ヤルヴィ指揮 エストニア国立交響 国立室内管弦楽団 エローヒン(p)
CD 8
パガニーニ ヴァイオリン協奏曲第1番 ハチャトゥリアン ヴァイオリン協奏曲

ヤルヴィ指揮 エストニア国立交響楽団 トゥーリン指揮 モスクワ・フィル
CD 9
チャイコフスキー 瞑想曲 スケルツォ メロディ 憂鬱なセレナーデ ワルツ=スケルツォ ヴァイオリン協奏曲

ヤンソンス指揮 ソヴィエト国立交響楽団
CD 10
ショスタコーヴィチ ヴァイオリン・ソナタ プロコフィエフ ヴァイオリン・ソナタ第2番 スーク 4つの小品

エローヒン(p)
 
7枚目は、小品の寄せ集め。なかではサン・サーンスとショーソンが豊かな音色を生かした好演。クライスラーの小品やパガニーニは、どうもギクシャクしているように聴こえいまひとつ。ベートーヴェンも音がギラギラしすぎているような感じだが、録音のせいかな。

8枚目は、ヴィルトゥオーゾ系協奏曲2曲。パガニーニは初めて聴く作品だが、ノー天気ながら楽しい作品。ヴァイオリンの技巧のひけらかしでありながら、最後まで飽きずに聴ける。トレチャコフの演奏も楽しそうでいい。ハチャトゥリャンは、録音状態もあまりよくないが、もっさりした感じで切れ味に乏しい。いまひとつ。

9枚目は、チャイコフスキーの作品集。はじめの5曲は10分程度の小品。トレチャコフの音色との相性がよい。協奏曲は、オケともどもかなり気合の入った熱い演奏。

10枚目のうち、ショスタコとプロコのソナタは、やや不調。ショスタコは平面的で深みに乏しいし、プロコは荒さが目立つ。むしろスークの作品がよい。ロマンティックで少し陰のある美しい旋律が印象的な曲だが、トレチャコフはやや大振りながらうまく味付けをしている。

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ムラヴィンスキーのリハーサル2

Altus_alt127ムラヴィンスキーのリハーサル
チャイコフスキー 交響曲第5番 ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 交響曲第6番(第2、第3楽章) グリンカ 「ルスランとリュドミラ」序曲 リャードフ バーバ・ヤガー プロコフィエフ 「ロメオとジュリエット」第2組曲
ムラヴィンスキー指揮 レニングラード・フィル

ロシア音楽編と称されているムラヴィンスキーのリハーサル集の第2弾。ドイツ音楽編と同じく、73年のリハーサルがCD6枚にわたり収録されている。

さすがに、リハーサルを全部聴き通すのは疲れた。チャイコフスキーの5番、ショスタコーヴィチの5番と言えば、このコンビの最も得意なレパートリーであり、毎年のように演奏しているはずで、指揮者もオケも、作品を熟知しているはずだが、それでも1週間かけて細かい練習をしていく。私にとっては完璧としか思えないムラヴィンスキーの演奏だが、リハーサルでは「この前はここがうまくいかなかった。」とか「この前はあそこはなかなか良かった。」などと言っており、ムラヴィンスキーにとっては、演奏のたびに反省点を見付け、毎回毎回修正を重ねていって音楽を作り上げているのであろう。とにかく「正確に」を要求する。ショスタコの6番で、1stトロンボーンが絞られているのは面白い。

後半は、ライブ録音が収められている。特筆すべきは、プロコフィエフであろう。初出の録音であるが、これまで出ていたものとは、段違いに音質が良い。ムラヴィンスキーは、この第2組曲を最晩年まで取り上げ続けているが、どうもこれまでの録音ではピンとこなかったが、今回の録音では、もの凄いダイナミズムと、弱音部の繊細な取扱いがよく分かり、ムラヴィンスキーの目指していた音楽がようやく聴こえてきた。

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