エッゲのピアノ協奏曲

Naxos8557834ノルウェー・ピアノ音楽集
ホーヴァル・ギムセ(p) オイヴィン・ギムセ指揮 トロンハイム・ソロイスツ
Naxos 8.557834

少し前にNaxosからリリースされたアルバム。ノルウェーのピアノ音楽と題されているが,エッゲの作品が中心となっている。オケを指揮しているのは,ギムセの弟。

はじめは,グリーグ25のノルウェーの民謡と踊りから第12番「ソルファーイェルと蛇と王様」が収録され,この主題を用いたエッゲピアノ協奏曲第2番(ノルウェー民謡による交響的変奏曲とフーガ)が続く。20分ほどの作品で,かなりダイナミックな曲。重心の低いオーケストレーションの中,時折聴かれる弦楽器のソロが美しい。特徴的なリズムが楽しいハリング幻想曲(3つの小品より)のあと,やはり20分を超える意欲作ピアノ・ソナタ第1番「夢の歌」。ここで聴かれるエッゲの3作品は,いずれもピアノの低音のごつごつした響きと力強いリズムが特徴。聴く方も体力を要する。エッゲの作品のあとは,ノルウェーの3人の作曲家の小品。ベルグノルウェーの踊り第2番「ホリン老人」フールム水彩画より「ミニアチュール」トヴェイト結婚式の鐘。それぞれ短い中にも個性が発揮されていて楽しい。

| | Comments (50) | TrackBack (0)

ヨハンセンとクヴァンダルのピアノ協奏曲

Psc1234ヨハンセン ピアノ協奏曲 「パン」 クヴァンダル ピアノ協奏曲
ギムセ(p) エッゲン,ルード指揮 オスロ・フィル
Simax PSC1234

ヨハンセン(1888-1974)とクヴァンダル(1919-1999)と聞いて,すぐに親子だと分かる人は相当重症な北欧音楽マニアでしょうか。20世紀ノルウェーを代表する作曲家親子のピアノ協奏曲を1枚にカップリングしたsimaxの新譜。

ヨハンセンのピアノ協奏曲は,1950年代に作曲され,ノルウェーでは比較的良く知られた作品となっている。第1楽章は,祝祭的な冒頭の主題が印象的な華やかな楽章。第2楽章は,中間部のピアノの力強い響きが印象的。第3楽章は,プレスト。民謡風の主題や第1楽章の主題も絡み合い盛り上がっていく。「パン」は,1930年代に作曲されたヨハンセンの代表作の1つ。ドビュッシーあたりのフランス音楽の影響を濃厚に感じさせる。

クヴァンダルのピアノ協奏曲は,1998年に完成したもの。翌年の1999年に亡くなってしまうクヴァンダルの最後の作品。最後の作品らしい思わせぶりなところはなく,いつもの元気なクヴァンダルの音楽。第1楽章は民謡を基調とした力強いアレグロ楽章。第2楽章は,夢を見るような美しい緩徐楽章。冒頭の長いテューバ・ソロは珍しい。第3楽章は,激しいトッカータ。80歳の老人が書く音楽とは到底思えない圧倒的な推進力。

年をとっても激しいピアノ協奏曲を書いた点では親子共通だが,コスモポリタン的なヨハンセンに対して,よりノルウェー的なクヴァンダル,といったような比較も面白い。

| | Comments (10) | TrackBack (0)

トヴェイトの歌曲集

Psc1223トヴェイト アスラウグ・ヴォーの詩による14の歌 オラヴ・H・ハウゲの詩 アスラウグ・ロースター・リュグレの詩
ペール・ヴォレスタード (バリトン) シーグムン・イェルセット (ピアノ)
Simax PSC1223


Simaxから出たトヴェイトの久しぶりの新譜。

今回紹介されるのは,トヴェイトが1964年から66年にかけて作曲した歌曲。ここでテキストとなっている3人に詩人は,いずれも西ノルウェーの詩人。詩の内容は,素朴に自然の様子を映し出したものが多く,文学者としての詩人というより,地元の語り部といった趣か。トヴェイトは,こうした詩にインスピレーションを受けて,メロディを付けた。いずれもその場でふっと思い浮かべただけのような,シンプルなもの。そこにそこはかとなく郷愁が漂うのがトヴェイトらしいところ。雰囲気としては,代表作のハルダンゲル民謡の組曲あたりに近い。尽きることなくメロディがわき出したことから「ノルウェーの涸れることのない滝」と言われたトヴェイトらしい作品となっている。

| | Comments (11) | TrackBack (0)

シベリウス・エディション「J」

Biscd190002シベリウス・エディション 音詩集
曲目詳細
BIS CD1900/02

昨年からはじまったBISのシベリウス・エディションだが,店頭でかかっていた「レンミンカイネン組曲」初稿に惹かれてしまい,思わず購入してしまった。第1集の音詩集は,5枚組。手持ちと1枚半ほどだぶる。

シベリウスはもちろん,大好きな作曲家だが,なにも版違いまでとことん集めることはないだろうと,BiSのマニアックな企画を冷めた目で見ていたところもあるのだが,これは大間違いだった。版が違うと,まるで別の曲だし,まったく違った魅力を持っている曲ばかりで,これはマニア向けではなく,シベリウスに少しでも興味があれば絶対聴くべきというもの。特に,最終稿しか知らないともったいないと感じたのは,「エン・サガ」。初稿の生々しいエネルギーが最終稿では完全に削ぎ落ちてしまっている。それから,「春の歌」は,はっきり言って初稿の方が出来がいいのではないか。瑞々しい新鮮な響きが素晴らしい。あとは「大洋の女神」エール版。これは,カラフルなエール版と神秘性を増した最終稿と両方楽しめる。

このシリーズは,全部揃えると「JEAN SIBELIUS」と背表紙が揃うことになり,「J」だけ持っていても格好が悪いのだが,果たしてどうしたものか…。

| | Comments (32) | TrackBack (0)

グリーグの合唱曲集

2l45sacdグリーグ 男声合唱のためのアルバム作品30 子供の歌作品61 春作品33-2 聖霊降臨祭 (ペンテコステ) の賛美歌作品23-25 アヴェ・マリス・ステッラEG150 4つの詩篇作品74
グレクス・ヴォーカリス カール・ホグセット (指揮) マグヌス・スターヴェラン (テノール)
2L 2L45SACD

グリーグが最後に完成させたという「4つの詩篇」が聴いてみたくて購入したCD。

グリーグで有名な作品と言えば,ピアノ協奏曲だったり,ペールギュントだったりするが,作品表を見てみると,もしろその創作の中心は歌曲にあったようだ。ここに収められた曲を聴くだけでも,その多彩な世界が理解できる。

前半は,男声合唱のためのアルバム(12曲)と子供の歌(7曲)を交互に組み合わせたプログラム。子供の歌は,もともとピアノ伴奏の女声独唱曲であるが,ここではこれを女声合唱用にアレンジした版を用いていて,つまり,男声合唱と女声合唱が交互に現れる趣向。男声合唱のためのアルバムは,民族舞曲を彷彿とさせる,踊り出したくなるようなものや動物の声を模したものなど,ユーモアとアイディアにあふれた楽しい作品。子供の歌は,グリーグのメロディ・メーカーとしての資質が発揮された美しい作品。真ん中に有名な曲を3曲はさんだ後,遺作「4つの詩篇」。バリトンと混声合唱のための30分近い作品で,この分野ではかなりの大作だろう。グリーグは,かなり敬虔なクリスチャンでもあったらしく,力の入った作品だ。厳かな雰囲気と独特の和声感覚が結びついていて,聴き応えがある。4曲目の暖かい雰囲気は感動的。

子供の歌の原曲は,こちら(グロープ盤)。

| | Comments (9) | TrackBack (0)

リンデの管弦楽曲集

Scd1132リンデ 楽しい序曲 ムジカ・コンチェルタンテ 多様な組曲 ブローニュ組曲
スンドクヴィスト指揮 イェヴレ交響楽団
Swedish Society SSACD1132

スウェーデンの作曲家ブー・リンデの作品集。少し前にヴァイオリン協奏曲とチェロ協奏曲をカップリングしたCDが出ていたが,その続編である。

今回は,比較的小規模で軽快な管弦楽作品を集めたアルバムとなっている。楽しい序曲(1954)は6分ほどのその名の通り軽快なアレグロのショーピース。ムジカ・コンチェルタンテ(1963)は,リンデ版「オケコン」と言ったところ。格好いいソロやアンサンブルが散りばめられている。多様な組曲(1959)は,5曲からなる小規模な組曲。ブローニュ組曲(1966)は,「ブローニュ公園の夏の夕べ」という副題を持つ6曲からなる組曲。イェブレの夏の公園でオケのメンバーがアルバイトとして演奏していた軽音楽の雰囲気を再現した曲。いずれもこの作曲家の肩の力の抜いた作品が楽しめる。中では仄かに過去への哀愁が漂う「ブローニュ組曲」が個人的にはお気に入り。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

鉄道のリズムに乗って

Hnssler_cd93187ロンビ (1810-1874):コペンハーゲン蒸気鉄道ギャロップ コープランド (1900-1990):ジョン・ヘンリー、鉄道のバラード パッヒャーネグ (1892-1964):出発進行!列車は通り過ぎた イベール (1890-1962):交響組曲〈パリ〉~地下鉄 ダンディ (1851-1931):交響組曲〈海辺の詩〉~緑の水平線、ファルコナーラ エドゥアルト・シュトラウス(1835-1916):ギャロップ〈テープは切られた!〉 ドヴォルジャーク (1841-1904) (ボフスラフ・レオポルト 編曲):ユモレスク作品101-7 ヴィラ=ロボス (1887-1959):バキアナ・ブラジレイラ第2番~カイピラの小さな列車
エドゥアルト・シュトラウス:ポルカシュネル〈蒸気をあげて!〉 レブエルタス (1899-1940):鉄道敷設 ルーセンベリ (1892-1985):抒情劇〈アメリカ旅行〉交響組曲 (1932)~鉄道のフーガ ヨハン・シュトラウス (1825-1899):ポルカシュネル〈観光列車〉 バーンスタイン (1918-1990):ミュージカル〈オン・ザ・タウン〉~地下鉄乗車と空想のコーニー・アイランド オネゲル (1892-1955):パシフィック231(交響的運動第1番)

イジー・スターレク (指揮)  カイザースラウテルン南西ドイツ放送管弦楽団 
Haenssler CD93.187

Haensslerから面白いアルバムが出た。これまでありそうでなかった「鉄道音楽集」である。ヨハン・シュトラウスからバーンスタインまで,時代も様々,地域も様々な多彩な曲が,かなり珍しい曲も含め,収められている。時代が下るにつれ,楽しいところに誘ってくれるはずの機関車が,人間を圧倒する巨大な機械に変貌していくように感じるのは気のせいではないだろう。個人的なお気に入りは,コープランドの作品。古き良きアメリカの蒸気機関車が眼前に現れるような懐かしい響きがたまらない。それから,やっぱりオネゲルの「パシフィック231」の描写は見事というほかない。

演奏は,堅実なもので,様々なスタイルの作品を的確に描き分けている。

| | Comments (69) | TrackBack (0)

エドヴァルド・ブレインの交響曲

Simax_psc1227ブレイン 交響曲第1番 第2番 第3番
シルヴァイ指揮 ノルウェー放送管弦楽団
Simax PSC1227

クラシックの世界でブレインと言えば,不世出のホルン奏者だが,もう一人,戦後ノルウェーを代表する作曲家エドヴァルド・ブレイン(1924-76)という人もいる。今回,そのブレインの交響曲全3曲が録音された。35分,25分,18分と小型の曲なので,なんとかCD1枚におさまる。

交響曲第1番(1949-50)は,初期ショスタコ風の軽薄さと19世紀を思わせるロマン派的身振りが奇妙に同居するおかしな曲。作曲者もどこまで真面目に作っているのだろうか。聴きやすいし面白くて素直に楽しめるので文句はない。交響曲第2番(1951-54)は,沈鬱な第1楽章が真面目な作品であることを伺わせるが,スケルツォやアレグロ・フィナーレで金管・打楽器がグワシグワシと活躍し始めると,途端に音楽が生き生きしはじめて,いや,真面目で深刻そうな音楽なんですけど,なんか楽しくなってしまうというか,おそらくこの人,根が明るいのでしょう。交響曲第3番(1968)は,単一楽章の交響曲だが,傾向は変わらない。この曲はちょっと考えすぎのところもあるかも。

この人,聴き手に緊張を強いるような音楽を作るようなタイプではなく,聴き手を純粋に楽しませようとするタイプのように思う。ショスタコ風のオーケストレーションだが,深刻な音楽を期待すると裏切られるので注意。ノルウェーのカバレフスキーといったところか(交響曲に関してはカバレフスキーよりはるかに面白いので,念のため)。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

エッゲの作品集

Aurora_ncdb4937エッゲ チェロ協奏曲 交響曲第2番 交響曲第4番
ヴァルガ(vc) シプシュ指揮 オスロ・フィル フィエルスター指揮 オスロ・フィル エールリング指揮 オスロ・フィル
Aurora NCD B 4937


ノルウェーの作曲家クラウス・エッゲ(1906-79)の作品集。ここでは比較的後年の管弦楽作品3曲が収められている。エッゲという作曲家については、十二音技法を導入したなどと紹介されることも多いようだが、聴感上は、それほど難解な印象はなく、むしろ分かりやすい。難解さでいうと、バルトークあたりか。

チェロ協奏曲(1966)は、緩急緩急の4楽章形式。重心の低い響きの中、チェロがほとんど休みなく動き回る。間然するところがない充実した作品。交響曲第2番(1947)は、”Sinfonia Giocosa”の副題のついた、急緩急の3楽章形式の交響曲。全曲で20分弱。両端楽章の力強いリズムが印象的。交響曲第4番(1967)は、”Sinfonia sopra B.A.C.H-E.G.G.E”という副題が付けられている。バッハと自分自身の名前を音名にした音列を中心にした単一楽章、20分余りの作品。少々一本調子な感もあるが、ユニゾンを効果的に使った骨太の作品。

どの曲も民族色を直接的に感じるものではないが、どの曲にも出てくる力強いリズムは、ノルウェーの民族舞曲を思い起こさざるを得ない。近代の仮面をかぶりながらも出自を隠し切れない(隠しているわけではないだろうが)、といった感じで面白い。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

ヨハンセンの作品集

Simaxpsc3119ヨハンセン 交響詩 「牧神 (Pan)」 交響的変奏曲とフーガ ピアノ組曲第1番 「ノルランの情景」 「中世の2枚の肖像画 」 ピアノ組曲第2番「グブランスダーレンから 」 ピアノ組曲第3番「プリラール=グリ」 
アンデセン指揮 ベルゲン・フィル ブラトリ (ピアノ)
SIMAX PSC3119
 
ノルウェーの作曲家,ダーヴィド・モンラード・ヨハンセン (1888-1974)の作品集。この人,作曲家クヴァンダルのお父さんでもある。

強烈な個性があるわけではないが,いずれも手堅い作品を書く人といった印象。ピアノ組曲「ノルランの光景」(1918),「中世の2枚の肖像画」(1922)は,ドビュッシーの影響が濃厚な曲。後者は,ノルウェー古謡に基づくらしいが,民族色は薄い。ピアノ組曲「グドブランスダーレンから」(1922)、「プリラール=グリ」(1924)は,うって変わって民族色が前面に出た作品。簡潔ながら美しくまとまった佳品。交響詩「牧神」(1939)は、ドビュッシーの「牧神の午後」を思い起こさせる響きも多いが、もう少し骨太な感じ。交響的変奏曲とフーガ(1944-46)も大規模なオーケストラのための作品で、テーマは民族風だが、変奏は近代オーケストレーションのオンパレードといった趣。

ちょっと乱暴だけど、ノルウェー国民楽派+フランス印象派といったような作風、とまとめてしまえるかな。このCDの中では、「グドブランスダーレン」と「プリラール・グリ」が個人的には好き。


| | Comments (1) | TrackBack (0)

より以前の記事一覧