ナチュラル・ホルンによるブラームスのホルン・トリオ

Hmc901981ブラームス ホルン・トリオ ヴァイオリン・ソナタ第1番 幻想曲集op.116
ファウスト(vn) ズヴァールト(hr) メルニコフ(p)
HMC901981

ハルモニア・ムンディのセールより。

まずはホルン・トリオだが,これは衝撃的な録音。作曲者の指定通り,ナチュラル・ホルンを使用しての演奏。ヴァイオリンもガット弦を使用し,ピアノも当時のものを使用するなど,ブラームスの時代の響きにこだわったもの。そこから出てくる3人の奏者の絡み合い,バランスが絶妙という他ない。ホルンのゲシュトップト音とヴァイオリンの音が重なるハーモニーの美しさなど,ちょっと聴く前には想像できないものだったし,ホルンの陰影のある豊かな表情に慣れてしまうと,もはや普通のヴァルブ付ホルンの演奏は聴けなくなってしまいそう。演奏者達の確かな技術とそれぞれの楽器の特性を十全に生かした的確な表現。この曲の深さを思い知った。

ヴァイオリン・ソナタは,個人的に大好きな曲で,特に冒頭のメロディはブラームスの名旋律の中でも屈指のものだと思う。ファウストの清潔で繊細な表現とメルニコフのピアノとの見事なバランスが素晴らしい。メルニコフによる幻想曲集は,響きすぎないピアノの音色を生かし,晩年のブラームスの世界の魅力を伝えてくれる。

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イッサーリスのサン=サーンス

Bvcc31038サン=サーンス チェロ協奏曲第2番 ミューズと詩人 ロマンス(Op.67) チェロ・ソナタ第2番
イッサーリス(vc) ベル(vn) ドヴォワイヨン(p) エッシェンバッハ指揮 北ドイツ放送交響楽団
BMG BVCC31038

イッサーリスは,サン=サーンスに入れ込んでいるらしく,チェロのための作品を全て録音しているとのことだが,このアルバムはそのうち,後期のどちらかというと知られていない作品を集めたもの。ここ最近割とサン=サーンスの作品を聴くことがあって,この作曲家に対するイメージもかなり変わった。特に,晩年の木管楽器のためのソナタやピアノ協奏曲第5番のような神懸かり的な名作に巡り会えたのは嬉しかった。で,このCDもそんな作品を期待して買ってみたのだが…。

チェロ協奏曲第2番(1902年)は,第1楽章の後半の底知れぬ美しさは見事なんだけど,やはり第2楽章の唐突さは,イッサーリスの演奏でも違和感をぬぐえない。チェロ・ソナタ第2番(1905年)は,この時期の作品としてはかなり熱い作品。30分を超える重量級の作品。これも,部分的にはとってもいいんだけど,なんとなく掴みどころがないような。木管ソナタの境地まであと一歩というところか。  

そんななか,「ミューズと詩人」~チェロ,ヴァイオリンとオーケストラのための(1909年)は,あらためて聴いてみてもしみじみとした名曲。ハープの加わったオケの響きがなんとも気品がある。自由な構成の中で自在に飛翔する作曲家の歌心が気持ちいい。ちなみに,「ミューズと詩人」というのは出版社が勝手に付けた名前で,作曲者は単に「協奏的二重奏」と名付けていたらしい。「ロマンス」はホルン吹きにとってはお馴染みの曲だが,ここでは珍しいチェロ版によっている。

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メンデルスゾーンの交響曲

Pcl4013メンデルスゾーン 交響曲全集 序曲「フィンガルの洞窟」 序曲「静かな海と楽しい航海」
ドホナーニ指揮 ウィーン・フィル
London PCL4013/5

少し前にメンデルスゾーンの室内楽曲をまとめて聴いたが,せっかくなので,交響曲もまとめて聴いてみようと思って購入したもの。

メンデルスゾーンの交響曲は,番号が混乱していて,作曲順では,まず弦楽のための交響曲(1823頃)があって,交響曲第1番(1824),第5番「宗教改革」(1832頃),第4番「イタリア」(1834),第2番「賛歌」(1840),第3番「スコットランド」(1843)となる。ここには,1番~5番の5曲と有名な序曲2曲が収録されている。

第1番は,15歳の時の作品で,やたら気合いが入っている。ベートーヴェンの曲を大いに手本にしたのだろうが,自分のものとして消化しているところは,さすが天才メンデルスゾーンといったところか。第5番は,本人はあまり気に入っていなかったようであるし,今もあまり演奏されない。しかし,私も久しぶりに聴いたが,なかなか聴き応えがある曲だ。決然とした両端楽章,メンデルスゾーンらしいスケルツォと緩徐楽章の優しい響き,バランスもよい。もともと「教会改革の祝典のための交響曲」として作曲されたもので,主題も宗教的なものが用いられているとのことであるが,どうも「宗教改革」という小難しそうな題名で損をしているような気もする。第2番が変わった曲で,演奏時間1時間以上を要する大作だが,前半が3楽章のシンフォニア,後半がコラールとなって独唱や合唱,オルガンが加わる,ベートーヴェンの第9と同じような構成の曲。ただ,どうも前半はやっつけ仕事っぽくて,今ひとつ魅力に乏しいし,後半もどうもまとまりに欠けるような気がする。「イタリア」,「スコットランド」は名曲すぎるので割愛。

演奏は,70年代後半にドホナーニがウィーン・フィルを指揮したもの。クリーヴランド管との黄金時代を築く前であるが,きびきびした音楽作りは,この頃も同じ。速いテンポの曲では,きちっとコントロールしてオケを引っ張り,ゆったりした部分ではウィーン・フィルの繊細な音色をうまく生かして歌を作っている。クライマックスの迫力も十分で,なかなか気持ちの良い演奏。

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ターリヒ四重奏団のメンデルスゾーン

Cal5313メンデルスゾーン 弦楽四重奏曲変ホ長調 弦楽四重奏曲第6番 弦楽四重奏のための4つの小品
ターリヒ四重奏団
CALLOPE CAL5313

少し前にブリリアントの室内楽曲集でメンデルスゾーンのカルテットを一通り聴いたが、違う演奏者によるものもいつか聴いてみたいと思っていたところ、ターリヒ四重奏団を店頭で見つけ購入。

はじめに収められている変ホ長調の曲は、1823年、14歳の時の作品。習作的な位置づけで番号もなく、全集企画でも省略されていることが多いようだが、忘れらるべきではない素晴らしい作品。ハイドンやベートーヴェンの手法を完全に自分のものとしている。

ターリヒ四重奏団は、4人が4人とも前に出てくるような表現スタイル。しかし、個々の音色が明るくやわらか、そして何よりも音楽的で気持ちよいので、全体としてとてもうまくまとまっており、かなり個性的だが見事なアンサンブルになっている。変ホ長調では若書きながら練達の筆致と伸びやかな雰囲気が自然に伝わるし、第6番はきわめて集中力の高い演奏で、早めのテンポの中、冒頭から最後まで強い緊迫感が持続する。4つの小品もそれぞれの曲の性格を描き分ける表現力が見事。ブリリアント盤もよかったと思うけど、こちらの方が数枚上手かな。

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鉄道のリズムに乗って

Hnssler_cd93187ロンビ (1810-1874):コペンハーゲン蒸気鉄道ギャロップ コープランド (1900-1990):ジョン・ヘンリー、鉄道のバラード パッヒャーネグ (1892-1964):出発進行!列車は通り過ぎた イベール (1890-1962):交響組曲〈パリ〉~地下鉄 ダンディ (1851-1931):交響組曲〈海辺の詩〉~緑の水平線、ファルコナーラ エドゥアルト・シュトラウス(1835-1916):ギャロップ〈テープは切られた!〉 ドヴォルジャーク (1841-1904) (ボフスラフ・レオポルト 編曲):ユモレスク作品101-7 ヴィラ=ロボス (1887-1959):バキアナ・ブラジレイラ第2番~カイピラの小さな列車
エドゥアルト・シュトラウス:ポルカシュネル〈蒸気をあげて!〉 レブエルタス (1899-1940):鉄道敷設 ルーセンベリ (1892-1985):抒情劇〈アメリカ旅行〉交響組曲 (1932)~鉄道のフーガ ヨハン・シュトラウス (1825-1899):ポルカシュネル〈観光列車〉 バーンスタイン (1918-1990):ミュージカル〈オン・ザ・タウン〉~地下鉄乗車と空想のコーニー・アイランド オネゲル (1892-1955):パシフィック231(交響的運動第1番)

イジー・スターレク (指揮)  カイザースラウテルン南西ドイツ放送管弦楽団 
Haenssler CD93.187

Haensslerから面白いアルバムが出た。これまでありそうでなかった「鉄道音楽集」である。ヨハン・シュトラウスからバーンスタインまで,時代も様々,地域も様々な多彩な曲が,かなり珍しい曲も含め,収められている。時代が下るにつれ,楽しいところに誘ってくれるはずの機関車が,人間を圧倒する巨大な機械に変貌していくように感じるのは気のせいではないだろう。個人的なお気に入りは,コープランドの作品。古き良きアメリカの蒸気機関車が眼前に現れるような懐かしい響きがたまらない。それから,やっぱりオネゲルの「パシフィック231」の描写は見事というほかない。

演奏は,堅実なもので,様々なスタイルの作品を的確に描き分けている。

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メンデルスゾーンの室内楽箱2

Brilliant_99983メンデルスゾーン 室内楽曲全集
曲目詳細は、前回の記事参照。

前回の続き。

弦楽四重奏曲は,一般に番号が付けられているものが6曲。若い頃に2曲,円熟期に作品44の3曲,そして亡くなる年の1曲。作品12(1827)は,第1楽章の自然な息づかいが美しい。激しいフィナーレは,ベートーヴェンの響きを思い起こさせる。最後の第1楽章の主題がさりげなく戻ってくるところなど上手い。作品13(1826)は,第2楽章の頻繁に変わるテンポ,対位法的手法の多様,第4楽章のヴァイオリンのモノローグ,1楽章や2楽章の回想など,気合いの入りまくった作品。この人の作品の中では重量級の1曲。1837年から書き始められた作品44の3曲セットは,当然ベートーヴェンのラズモフスキーセットを意識しているだろう。3曲とも淀みのない流れがメンデルスゾーンらしい。が,ここが好き嫌いの分かれ目で,うまく行き過ぎていてつまらないという評価もあるかも。作品80は,1847年の死の年の作品。姉ファニーの死と関係があるという,不安と苛立ちに満ちた曲。もう一つ,弦楽四重奏のための4つの小品作品81という曲が収められているが,これは未完に終わった弦楽四重奏曲の断片が死後集められて出版されたもの。作曲年代もバラバラで統一感には欠けるが,1曲1曲は充実している。

弦楽五重奏曲は、2曲。若い頃の1番(1826/1832)は、少し理屈っぽいが、穏やかな響きは悪くない。晩年の2番(1845)は、これは名曲として知られるべきだろう。底知れぬ美しさを持つ重量級の3楽章など、かなり良い。ピアノ六重奏曲(1824)は、優雅な雰囲気の作品だが、フィナーレは力がこもっている。弦楽八重奏曲(1825)は、若き日の傑作として名高いらしい。清々しいメロディが魅力。同時期の他の作品と比べて取り立ててレベルが高いとは思わないが…(これは演奏に少し難ありかも)。

ざっと聴いて感じたのは,この人,若くして完璧な作品を残したように言われているが,やはり10代の作品は,ベートーヴェンやらバッハやらを参考にあれこれ試行錯誤を繰り返しているみたいで,そこはやはり努力あってのものだな,ということ。ただ,この頃ベートーヴェンは存命だった(1827没)わけで,当時の最先端の音楽をたちどころに自分のものにしてしまうのは,やはり天才か。

演奏は,なかなか粒ぞろい。チェロ・ソナタのシュタルク,エッシェンバッハのデュオ,ピアノ・トリオのアムステルダム・ピアノトリオ,作品44-1担当のバルトーク四重奏団といったところはなかでも出色。

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メンデルスゾーンの室内楽箱1

Brilliant_99983メンデルスゾーン 室内楽曲全集
DISC.1 ヴァイオリン・ソナタヘ長調(1838) ヴァイオリン・ソナタヘ長調(1820) ヴァイオリン・ソナタヘ短調作品4
ベルクヘーメル(vn) 橋本京子(p)
DISC.2 チェロ・ソナタ変ロ長調作品45 チェロ・ソナタニ長調作品58 無言歌作品109 協奏的変奏曲作品17
シュタルク(vc) エッシェンバッハ(p)
DISC.3 ヴィオラ・ソナタハ短調(1823-24) クラリネット・ソナタ変ホ長調(1824) 弦楽四重奏曲第3番ニ長調作品44-1
コッホ(va) シューマッハー(cl) ケラー(p) バルトーク四重奏団
DISC.4 弦楽四重奏曲第4番ホ短調作品44-2 弦楽四重奏曲第5番変ホ長調作品44-3
イギリス弦楽四重奏団
DISC.5 弦楽四重奏曲第1番変ホ長調作品12 弦楽四重奏曲第6番ヘ短調作品80 弦楽四重奏のための4つの小品作品81
シャロン四重奏団
DISC.6 弦楽四重奏曲第2番イ長調作品13  ピアノ四重奏曲第3番ロ短調作品3  クラリネット、バセットホルンとピアノのためのコンツェルトシュトゥックへ長調作品113
シャロン四重奏団 ロ ンドン・シューベルト・アンサンブル シューマッハー(cl) アルベルト(バセットホルン) ケラー(p)
DISC.7 ピアノ四重奏曲第1番ハ短調作品1  ピアノ四重奏曲第2番ヘ短調作品2 クラリネット、バセットホルンとピアノのためのコンツェルトシュトゥックへ長調作品114
ロンドン・シューベルト・アンサンブル シューマッハー(cl) アルベルト(バセットホルン) ケラー(p)
DISC.8 弦楽五重奏曲第1番イ長調作品18  弦楽五重奏曲第2番変ロ長調作品87
シャロン四重奏団 ヴァーレ(va)
DISC.9 ピアノ三重奏曲第1番ニ短調作品49  ピアノ三重奏曲第2番ハ短調作品66
アムステルダム・ピアノ三重奏団
DISC.10 ピアノ六重奏曲  弦楽八重奏曲変ホ長調作品20
アマティ室内合奏団員 アマティ弦楽合奏団員
Brilliant BRL99983

メンデルスゾーンの室内楽ボックス。交響曲や協奏曲のいくつかは、よく知っているものの、室内楽となるとおそらく全く聴いたことがなかった。この作曲家を系統立てて聴くよい機会にもなると思い、購入。

ヴァイオリン・ソナタは、全3曲。へ長調(1838)は、冒頭の伸びやかな主題が気持ちいい。安心して聴けるバランスのとれた名品。ヘ長調(1820)は、なんと11歳の時の作品。ピチカートのセンスのある用い方、バッハの響きが聴こえる第2楽章など、聴き所も多い。これら2曲は、死後発見された作品で、へ短調作品4(1825)が唯一生前出版された作品(これも16歳の作品)。冒頭と終楽章にヴァイオリンのモノローグが入ったり、洒落た終わり方をしたり、意欲的な作品だが、少し間延びしたところがあるか。

チェロ・ソナタは、2曲。いずれも歌謡的なメロディをチェロに歌わせる。第1番(1838)は、はかなげな2楽章がなかなか素敵。第2番(1843)は、4楽章形式で、どこをとってもうきうきするような魅力に満ちた名作。無言歌(1845)は、5分ほどの小品だが、心に沁みるメロディがたまらない隠れた名品。協奏的変奏曲(1928)は、生命力の溢れる元気な作品。

ヴィオラ・ソナタ(1823-24)も若い頃1曲書いている。2楽章はスローテンポの中間部を持ち、終楽章を大規模な変奏曲にするなど、意欲的な作品。ベートーヴェンの影響が濃厚。

メンデルスゾーンは、木管楽器の中で唯一、クラリネットのための作品を3曲も書いている。クラリネット・ソナタ(1824)は、15歳のときの作品。親しい人のために書いたのか、肩の力の抜けたシンプルな曲。クラリネット、バセットホルン、ピアノのためのコンチェルトシュトゥックの2作品は、いずれも1833年に同じ機会に書かれたもの。ともに短い3つの楽章からなる10分弱の小品。珍しい編成もあり2つの音色の絡み合いを楽しめる。

2曲のピアノ三重奏曲は、1839年、1845年と円熟期の作品。どちらもいかにもメンデルスゾーンらしい爽やかなメロディと安定感のある構成で、素晴らしい作品。ピアノ四重奏曲は、3曲。順に1822年、1823年、1825年の10代の作品。どれも立派で堂々とした作品なのだが、少し守りに入っているか。作品番号1番~3番がつけられており、初出版作品だったのかもしれない。

残りは、次回。

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ハーディングのマーラー10番

Dg_uccg1389マーラー 交響曲第10番(クック補筆全曲版)
ハーディング指揮 ウィーン・フィル
DG UCCG-1389

何かと話題のようなので、本当に久しぶりに国内盤を購入。

この曲、第1楽章は昔から大好きだったものの、第2楽章以降については何度か聞いても、あまりピンとこない印象だった。でも、この演奏ですっかり全曲版ファンになってしまった。マーラーの最高傑作は断然この10番で、9番ですらこの曲のための踏み台のように(今は)思える。この演奏は、エキセントリックな表現を排し、終始なめらかで美しい響きを維持しているのが特徴。ウィーン・フィルも耽美的な響きでこれに応えている。この美しい響きがわりと淡々と続いていくのであるが、これがかえってこの曲の不安感をあぶり出す。こうしたやり方が、マーラーの他の曲でどこまで通用するかは分からないが、少なくともこの10番に関しては、大成功だろう。これまで、2楽章から4楽章が、似たようなスケルツォがゴチャゴチャ続くというイメージがあって敬遠していたのだが、この演奏のおかげでようやくシンメトリックな構成に納得がいった。ちょっと面白そうな指揮者の登場だ。

あらためてこの曲のCDを山の中から発掘してみて聴いてみた。ラトル盤(ベルリン・フィル)は、何故かどうにも面白くない。ギーレン盤の表現主義的なアプローチは、「正しい」やり方なのだろうが、全曲聴き通すには体力が必要。むしろザンデルリンク盤がいい。少々ぶっきらぼうだが、曲を大づかみにして、過不足無く聴き手に提示する感じ。発掘したCDにとても良い演奏があると、いつも以上に嬉しいのは何故だろうか。

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ショルティのワーグナー管弦楽曲集

ワーグナー 「リエンツィ」序曲 「さまよえるオランダ人」序曲 「タンホイザー」序曲,バッカナール ジークフリート牧歌
ショルティ指揮 ウィーン・フィル
DECCA 475-8052

どうも寒くなってくると大音響が恋しくなるもので,CD屋の安売り(売れ残り)コーナーからめぼしいものを探し出したのが,これ。1960年代,ショルティがニーベルング全曲を録音していた頃に並行して行われた管弦楽曲集の録音。

期待取りの大音響で大満足。実に「骨太」の音楽作りで,有無を言わせない説得力がある。現在も大音響を売りにしている指揮者は何人もいるが,これとの説得力の違いは一体なんなのだろう。演奏者全員が何かに向かって脇目もふらず突き進んでいるような勢いに,聴き手もついて行かざるを得ないような印象。今の大音響は,何か軽薄で皮相な雰囲気が感じられるのは,聴き手の懐古趣味なのか,やはり根本的に音楽の在り方が変わってしまったのか…。

大音響とは離れるが,最後に収録されているジークフリート牧歌もとても良い演奏。おそらくショルティはほとんど何もしていないのではないか。ウィーン・フィルのソリスト達が,感性の赴くままに実に寛いだ雰囲気で音楽を作っている。妻の誕生日のために作ったというこの曲の出自が思い起こされる。

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トルトゥリエのサン=サーンスなど

サン=サーンス チェロ協奏曲第1番 七重奏曲 ピアノ五重奏曲 ワルツ形式の練習曲 動物の謝肉祭
トルトゥリエ(vc) フレモー指揮 バーミンガム市響 パリ器楽グループ チッコリーニ(p) 
ワイセンベルク(p) プレートル指揮 パリ音楽院管

EMI5枚組のうち,既に記載したピアノ協奏曲集とヴァイオリン協奏曲集を除いたもの。

チェロ協奏曲は,トルトゥリエの演奏が収められている。伴奏がやや緩いが,トルトゥリエの柔らかい音色が心地よい快演。七重奏曲(1881)は,ピアノと弦楽(2vn.va.vc.cb)にトランペット独奏が加わる面白い編成。トランペットの祝祭的な音色を生かした作品で,肩の力の抜けた軽快な作品。ピアノ五重奏曲(1857)は,19歳の時に書かれた最初の室内楽作品で,30分の演奏時間を要する大作。シューベルトあたりの影響が強く聴こえるが,ピアノの軽やかな動きは,後年の協奏曲に通じるものがあるし,2楽章と3楽章をつなげたり,1楽章と4楽章を関連づけたり,なかなか意欲的。ワルツ形式の練習曲は,個人的には,イザイ編曲のヴァイオリン版を先に知ってしまったが,無理矢理たくさんの音符が並べている原曲はやはり面白い。動物の謝肉祭は、少し録音が古いものの、パリ音楽院管の奏者の名技が聴ける貴重な録音。「下手なピアニスト」で思いっきり下手に弾いてしまうユーモアもある。

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