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イワーシキンのシュニトケ

Chan234シュニトケ チェロ協奏曲第1番 第2番 チェロ・ソナタ第1番 第2番 合奏協奏曲第2番
イワーシキン(vc) I.シュニトケ(p) グリンデンコ(vn) ポリャンスキー指揮 ロシア国立交響楽団
Chandos CHAN241-39

シュニトケのチェロのための作品を集めたもの。「シュニトケとの対話」の著者であるイワーシキンをはじめ,シュニトケと親密な関係を持っていた演奏家によるもの(ポリャンスキーに関しては「対話」の中で皮肉られていたような気もするが)。

チェロ・ソナタ第1番(1978)は,急緩急の古典的な3つの楽章の中に現代的ともロマン派的ともとれるノスタルジックな雰囲気を閉じこめた名作。合奏協奏曲第2番(1982)は,ヴァイオリンとチェロの二重協奏曲の形式をとる大オーケストラ(エレキギターまで加わる)のための作品で,カガン・グートマン夫妻に献呈された。バロック風のメロディを基調としており,時に多様式主義と言われるシュニトケらしい作品。チェロ協奏曲第1番(1985)は,心臓発作で死の淵を彷徨った後の最初の作品として重要。最終楽章の感動的なパッサカリアにはどんな思いが込められているのか。シュニトケの傑作の一つだろう。チェロ協奏曲第2番(1990)とチェロ・ソナタ第2番(1994)は,いずれもロストロポーヴィチに捧げられている。第2番の協奏曲は,第1番をさらに深めたような曲想で,この曲も最終楽章はパッサカリア。ソナタ第2番は,5楽章形式の散文的な色彩の強い曲。

一時のシュニトケ・ブームはすぎさり,演奏会で取り上げられたり,新録音が出たりすることも少なくなって,私自身もまとめてきちんと聴くのは久しぶりだが,やはり良い曲を残してくれている。まだまだいろいろな演奏家に取り上げてもらいたいものだ。

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モーツァルト「最後の協奏曲」

Hmc901980モーツァルト ピアノ協奏曲第27番 クラリネット協奏曲
シュタイアー(フォルテピアノ) コッポラ(Cl) ゴルツ指揮 フライブルク・バロック・オーケストラ
harmonia mundi HMC901980

ハルモニア・ムンディが安くなっていたので面白そうなものを何枚かまとめ買い。まずは,フライブルク・バロック管のモーツァルト・シリーズより。

「最後のコンチェルト」と題されたアルバムで,最晩年の傑作協奏曲2曲が収められている。ピアノ協奏曲は,シュタイアーのフォルテピアノによる演奏。フォルテピアノとオーケストラのバランスがとてもよくて気持ちいい。オーケストラも,ソロの部分では弦楽を1人ずつにするなど,工夫を凝らしているようだ。それから,シュタイアーの表現力の多彩なことには驚かされる。乾いた音から豊かな響きをもった音まで,自在に音色と響きを操っている。単なるピアノの前身ではなく,これも完成された楽器だったのだ。

コッポラによるクラリネット協奏曲は,CDの表示は,クラリネット・ダモールとなっているが,初演者シュタートラーの用いていたバセット・クラリネットのことだろう(1794年のリガのプログラムの図版の楽器のコピーとある)。柔らかい音色の中高音域と,力強い音色の低音域,もしかするとこの音色の差がこの楽器の欠点だったのかもしれないが,ここではこれをうまく生かしている。2楽章のロマン派風の美しい表現は面白い。

フライブルク・バロック管は,いつも高水準で何よりも楽しい音楽を聞かせてくれる。ここでも期待を裏切られることはない。

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キタエンコのプロコフィエフ

Pe135プロコフィエフ 交響曲全集
キタエンコ指揮 ケルン・グェルツィニッヒ管弦楽団
Phoenix Edition PE135

NMLに最近登録されたキタエンコのショスタコーヴィチ全集をつまみ聴きしたところ,どれも高水準でびっくり。ということで,新譜のプロコフィエフ全集に手を出してみた。

キタエンコの音楽づくりは,何といっても聴かせ上手。オーケストラの美しい音を気持ちよく響かせ,バランスをうまく整えている。こうしたタイプはとかく軽薄な音楽になりがちだが,細かいところまで目が行き届いているのと,低音部をしっかり引き締めているので,むしろ知的な印象。それからここぞという場面でトロンボーンを中心にした爆発力にも欠けていない。プロコフィエフの交響曲とは相性がいいようだ。中でも7番の天国的な美しさには脱帽。ほかに,4番(改訂版),6番あたりが素晴らしい。2番や3番で暴力的音響を期待すると少し肩すかしだが,最上級の録音と相まって,楽譜のすべての音がきちんと聴こえてくるので,発見は非常に多いはず。間違いなく,必聴の全集の仲間入りだろう。

モスクワ・フィル時代はパッとしないイメージだったキタエンコが,西側の高性能オケを手に入れて水を得た魚といった趣。ちょっと注目。

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