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交響詩「未成年」(1984)

1 曲目について

ボリス・チャイコフスキーは,1983年,ドストエフスキー原作の映画「未成年」のための音楽を作曲する。ボリス・チャイコフスキーは,その過程でいたくドストエフスキーの世界観,人間観に感銘を受けたらしく,映画で用いた主題を使って,管弦楽作品を作曲する。タイトルに「交響詩」としたものの,正確には,「ドストエフスキーの小説の印象に基づく管弦楽のための詩」である。30分を超える作品だが,話の筋を追ったものではない。主人公の主題を用いてドストエフスキーの人間観を表現しようとしたものと言ってよいだろうか。編成は,通常のオーケストラに加えて,ヴィオラ・ダモーレ,ピアノ,ハープシコード,リコーダー,それにグスリというロシアの民族楽器がソロとして加わる特殊なもの。

簡単な弦楽器の導入に続いて,ピアノの急速な伴奏にのった主題Aがヴィオラ・ダモーレのソロで示される。3連符の下降音型が印象的な悲哀に満ちたもの。不気味なオーケストラによる経過の後,フルートが主題Aを再現し,ヴィオラ・ダモーレが優しさにあふれる主題Bを奏でる。主題Aとは対照的な上昇音型によるもの。オーケストラの副次的な主題,主題Bの再現の後,リコーダーとグスリによって,息の長く,静かで美しい主題Cが現れる。オーケストラが少し発展させた後,ハープシコードの厳かな伴奏の上に,ピアノで主題Aが歌われるあたりからが,展開部か。展開部とは言っても,主題が絡み合って発展していくというよりも,主題の断片が現れては消え,現われては消え,という独特な世界。低弦が主題Aを静かにゆっくりと奏でた後,ヴィオラ・ダモーレが主題Aを再現し,再現部に入る。再現部では,主題Bは現れず,主題Aの後半に主題Cが絡んでいくスタイルとなる。この主題Aと主題Cの絡み合いが実に美しく,この曲の聴きどころ。悲壮感のある主題Aを主題Cが包み込んで昇華させていく。主題Cがヴァイオリンソロで優しく奏でられた後,全合奏の長和音で締めくくる。

2 録音情報

フェドセーエフ盤2種がある(Relief,Melodya)。Releif盤は,初演から半年後のライヴで,Merodya盤は1989年のスタジオ録音。Relief盤も十分良い演奏だがライヴのためキズは多い。Melodya盤は未入手だが,早く聴いてみたいところ。

3 データ

初演 1985年3月23日モスクワ フェドセーエフ指揮 モスクワ放送交響楽団


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Comments

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Posted by: | January 17, 2015 at 09:42 PM

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