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トヴェイトを聴く5

トヴェイト前期の代表作「バルドゥルの夢」は、作曲者自身にとっても自信作であったようで、大戦中のスコア紛失のあとも、いくつかコンサート用の作品を作っている。現在、録音で聴けるものをここでまとめてみたい。

不死身のもの~バルドゥルの夢より(1938)

これは、おそらくオリジナルのピアノ版そのものの一部であろう。Marco Poloのギムセ盤で聴くことができる。第3幕の一番最後、バルドゥルが死ぬ直前の場面、不死身のバルドゥルが踊る、最高潮の場面の音楽である。ギムセ盤では、3分43秒。音楽は、管弦楽版と同じ。ピアノ版ながら、管弦楽版を髣髴とさせる力強さを感じることができる。

太陽神の踊りop91no15(1952)

SIMAXのボトネン盤に収録。前項の「不死身のもの」は、トヴェイトが自身のツアーで度々演奏していたようだが、そこは即興演奏も得意だったというトヴェイトのこと、おそらく演奏のたびに、様々な装飾を加えたりして、どんどん作品を磨いていったのだろう。その集大成というべきが、この太陽神の踊り。「不死身のものの主題による演奏会用超絶技巧パラフレーズ」といった感じの作品。演奏会先であったであろう、モナコ皇子に献呈されている。演奏時間は、ボトネン盤で9分28秒。原曲は大きく拡大され、原曲にないフレーズも多く組み込まれているし、音符の数は途轍もなく多そうである。まさにピアノ・ヴィルトゥオーゾのための作品といった趣。

太陽神交響曲(1958)

1958年、トヴェイトは、「バルドゥルの夢からの3つの断章」という形で、管弦楽組曲を作っている。しかし、このスコアも、火災で焼失。ノルウェーの作曲家フスビーが残された放送録音などから復元したものが、この「太陽神交響曲」。BISのルード盤で聴くことができる。第1楽章「神はヤドリギを忘れる」、第2楽章「バルドゥルのかがり火の旅」、第3楽章「矢の踊り」の3楽章構成。2楽章と3楽章はフスビーによって入れ替えられている。前2曲と同じ素材を用いているのが第3楽章であり、これを前2曲と比較してみると明らかであるが、この3楽章は基本的には「太陽神の踊り」の管弦楽曲化と考えていいと思う。第1楽章、第2楽章についても、1938年の原曲からはかなり離れたところにある印象。オーケストラの編成も常識的なものに戻されている。

トヴェイトの「バルドゥル」への熱情はどの曲からも窺うことはできるのだが、1938年の原曲の持つ原始的ともいうべき力強さが、後年の作品からは失われてしまっている。確かに後年の作品の方が洗練されているという見方もできるだろうが、総合的に見れば、原曲が圧倒的に優れた出来栄えであると思うのであるが、いかがであろうか。

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Comments

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Posted by: Mireya | November 13, 2015 06:40 AM

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