モーツァルト「フィガロの結婚」

モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」

実は、ここ数ヶ月、モーツァルトのオペラばっかり聞いている。声楽をやっている方とお話しする機会があって、「オペラって何が面白いのかさっぱり分からん」と文句を言っていたところ、「つべこべ言わずに『フィガロ』を徹底的に聴け」と言われ、「おう、それなら聴いてやる」と、早速、店頭にあったCDとヤマハに並んでいた対訳本を購入して、聴き込みはじめたのが4月のこと。はじめのうちは、何言っているのか分からない外国語の歌はやっぱり退屈だな、と思っていたが、歌詞の意味と音楽とが身体に染みついてくるぐらい聴き込んでいくと、なんだ、これはめちゃくちゃ面白いじゃないか、モーツァルトの器楽曲なんてこれに比べればゴミみたいなものじゃないか、とまで思ってしまうほどはまってしまった次第。以来、遠出の車の中では大音量でアリアを聴き、東京出張の新幹線では、コンセントのあるN700系窓側席を確保し、隣席の視線を無視して行きも帰りもオペラのDVDを見続けるという、生活を送っている。

Hmv_2552454はじめに購入したのは、店頭の一番目立つところにおいてあった、アーノンクール盤のCD。あまり私と相性のよくない指揮者で、ここでも冒頭の序曲の気持ち悪いリズムに「失敗したか」と思ったが、そこから先は濃厚な表情付けも悪くなく、ウィーン・フィルの柔らかい響き、歌手のレベルも高く、大変立派な演奏。

Hmv_3522160次に購入したのは、アーノンクールと対照的なものを、と思い、値段の安さにも惹かれたマッケラス盤。キビキビとした快速の演奏で、ドタバタ喜劇の感じがよくでていて、これもいい。歌手たちは、アーノンクール盤と比べると皆軽めな印象だが、指揮者の方向とマッチしている。

714それから、これも徹底して安かった、ド・ビリー盤も購入。マッケラス同様、快速系の演奏だと思うが、少し上品なマッケラスに比べて、いい意味で荒々しく、これはこれで元気でよい。歌手については、誰が歌っているのか書いていないという酷い扱いで、中堅どころが歌っているようだが、みんな楽しそうで十分なレベル。

933声楽家さんからは「映像よりもCDで聞いた方がよい」と言われていたが、どうしても音だけではよく分からない箇所(第4幕、伯爵がケルビーノを殴ってフィガロがとばっちりを食う?)などがあり、またどうしても映像も見たくなって選んだのが、パッパーノ盤。これもエネルギッシュな舞台で面白い。CDだと脇役感があるバジリオやバルトロなども存在感がある。

ということで、しばらくオペラに浸かってみることになりそうです。

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エウローパ・ガランテのボッケリーニ

Virgin_50999_212149_2_9ボッケリーニ 三重奏曲第20番ニ長調 G98, Op.14-4  四重奏曲第56番ハ短調 G214, Op.41-1 五重奏曲第91番ハ短調 G355, Op.45-1 六重奏曲第4番ヘ長調 G457,Op.23-4
エウローパ・ガランテ
Virgin Classics 2121492

最近わりとはまっているボッケリーニ。面白そうなアルバムがあったので購入。

エウローパ・ガランテは,ファビオ・ビオンディが中心となって結成されたアンサンブル。このアルバムを聴く限り,とても切れ味が鋭く,スタイリッシュで引き締まった演奏をする。ここでは,ボッケリーニの様々な編成の作品を短調作品を中心に集めており,演奏の方向性とあいまって背筋がピンと伸びるような真面目な1枚に仕上がっている。先日聴いたボッケリーニ四重奏団の演奏とは対照的。収録された曲の中では,小規模ながら魅力的な旋律にあふれている三重奏曲が気に入った。軽やかな演奏との相性もよい。

ちなみに先日紹介したアレア・アンサンブルのメンバーのロニョーニ(vn)とマルコッキ(va)がメンバーとして参加していてびっくり。

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マレの幻想的小品組曲集

29マラン・マレ 三重奏のための幻想的小品組曲集~組曲ニ長調 組曲ト短調 組曲ハ長調
アンサンブル・ルベル

DHM箱29枚目。

ヴィオール奏者として歴史に名を残しているマレであるが、ここに収められているのは、2つのヴァイオリンと通奏低音(ここではヴィオール+クラヴサン)による三重奏曲集。3曲の組曲は、いずれも2~3分の短い舞曲を7、8曲連ねた構成からなる。冒頭からサッと陽光が降り注ぐかのような華やかで輝かしい響き。曲によって表情が次から次へと変わるのが面白くて、全く飽きることがない。いつまでも浸っていたいと思わせる曲。

先日DHM箱でリュリを聴いたとき、どうもフランスバロックは苦手かも、と書いたが、マレとは波長がピタリと合うようだ。リュリとマレは、同じルイ14世の寵愛を受けた同時代人だが、どんな関係だったのだろうか。調べてみると面白そう。

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J.S.バッハ以前のカントル達の音楽

28クニュプファー Ach Herr, strafe mich nicht  Es haben mir die Hoffärtigen シェッレ Das ist mir lieb Ach, mein herzliebes Jesulein Barmherzig und gnädig ist der Herr Aus der Tieffen rufe ich, Herr, zu dir クーナウ Gott, sei mir gnädig nach deiner Güte O heilige Zeit
コンラート・ユングヘーネル(指揮&リュート) カントゥス・ケルン

DHM箱28枚目。

J.S.バッハがライプツィヒの聖トマス教会のカントル(音楽監督)を務めたのが、1723年から1750年。ここに収録されている3人の作曲家は、バッハ以前に同職にあった作曲家である。クニュプファー(1633-1676、在任1657-1676)、シェッレ(1648-1701、在任1677-1701)、クーナウ(1660-1722、在任1701-1722)ということで、バッハの前100年を俯瞰できる面白い企画。

バッハ自体をあまりきちんと聴いていない私に語れることはあまりないのだが、「バッハは一日にしてならず」といったところか。確かに時代が進むにつれ、バッハに近づいてきているように聴こえる。もちろん、古い作品が悪いわけではなく、シンプルでも美しい、聴いていて気持ちの良い曲ばかり。ユングへーネルのアンサンブルは、声楽1パート1人という独自のこだわりをもっているらしいが、透明感のある響きがスッと心に入ってくる素晴らしい演奏。

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マショーのノートルダム・ミサ曲

Untitled2マショー ノートルダム・ミサ曲 ペロティヌス グラドゥアーレ『支配者らは集まりて』 『地上のすべての国々は』 『アレルヤ,乙女マリアのほまれある御誕生』 シャンスリエ コンドゥクトゥス『言いたまえ、キリストの真実よ』 作者不詳 コンドゥクトゥス『あわれみ深きわれらの父よ』 『アレルヤ,よみがえりたまいしキリストは』 『クラウズラ:死は』
アルフレッド・デラー(指揮) デラー・コンソート コレギウム・アウレウム団員

DHM箱27枚目。

14世紀のフランスの作曲家,ギョーム・ド・マショーの代表作をメインにした1枚。ノートルダム・ミサ曲は,最古の通作ミサ曲であり,アルス・ノヴァの技法が駆使されているとのことであるが,確かに,あちこちからこだまするような複雑で不思議な響き。これに対してペロティヌスは,12世紀から13世紀にかけて活躍した人で,ノートルダム楽派の代表的な存在とされ,シャンスリエはその友達。オルガヌムという当時の不思議な技法が聴ける。こちらはマショーに比べるとずっと単純で素直。

演奏は,デラー・コンソートというところだが,なんと1960年の古い録音。現在のきれいな響きのアンサンブルではなく,生々しい,生命力にあふれた音楽。コレギウム・アウレウムの団員も多少の音程のずれは気にせずブカブカ吹いていて却って気持ちいい。民族音楽を聴いているかのよう。昔の響きの再現として優れているのかどうかは分からないが,聴いていてとても楽しいので,これはこれでよし。


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リュリのディヴェルティスマン集

Untitledリュリ ディヴェルティスマン集
スキップ・センペ(指揮&cemb) カプリッチョ・ストラヴァガンテ

DHM箱26枚目。

フランス・バロックの大家リュリ(1632-1687)のディヴェルティスマン集。リュリというと,指揮棒で亡くなった人というイメージしかなかったのだが,ルイ14世の庇護を受けてフランスの宮廷で大活躍した音楽家であるようだ(wiki参照)。ディヴェルティスマンというのは,バレエやオペラの途中に挿入されるストーリーとは関係ない音楽のこと。そもそもの意味は「気晴らし」というもので,ここに収められているのは,2,3分くらいの親しみやすい軽めの音楽が15曲ほど。このボックスではおなじみのセンペらの演奏で,おそらくいい演奏なのだろうが,フランス・バロックがそういうものなのかどうなのか,どうもフニャフニャした響きが私は馴染めない。もう少し寝かしてみます。

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リテレスのオペラ

25アントニオ・デ・リテレス 歌劇『四大元素』
エドゥアルト・ロペス・バンゾ(指揮&cemb) アル・アイレ・エスパノール

DHM箱の25枚目。

リテレスは,11枚目のスペイン・バロック集でも出てきた人。ここでは「四大元素」というオペラが聴ける。「四大元素」とは,空気,水,土,火のことで,これらが物質の根源ということらしいが,オペラとの関連は全く不明。対訳も解説もないので,聴こえてくる音楽に身を任せるほかない。

室内楽といってもいいほどの小編成の器楽に,独唱中心に20曲余りからなる。通奏低音にギターやカスタネットも加わっていて,これがなんとも言えない心地よさ。声楽陣も,無理に声を張り上げることなく,ごくごく自然に楽しい歌を歌っている感じだし,メロディもきわめて単純ですぐに口ずさめそうなものばかり。歌詞が分からなくても,十分に楽しめる癒しの1枚。

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ラウテンバッハーの「ロザリオのソナタ」

Cdx5171ビーバー ロザリオのソナタ
ラウテンバッハー(vn)
VOX CDX5171

ロザリオのソナタのCDを購入したのは,マンゼ盤レツボール盤に次いで3組目。よく利用する通販CD屋さんで強くおすすめされていたラウテンバッハー盤。

1962年の録音というかなり昔の録音で,使用楽器もモダン楽器によるもの。ただ,そこから聴こえてくる音楽は,これまで聴いてきたものの中でももっとも感情を抑えたもので,むしろ朴訥とした語り口。丁寧な演奏は,宗教音楽であるこの作品本来の姿を自然に浮かび上がらせている。淡々とした運びの中ながらなかなか感動的な演奏となっている。

ラウテンバッハーというヴァイオリニストは,私はおそらく今回初めて聴いたはずだが,これはとてもいい奏者。適度に節度を持った音色と表現,丁寧で細部まで目を配っていることが分かる真面目な演奏で,聴いている方の背筋も思わずピンと伸びてしまうのだけど,ちっとも堅苦しくなくて,自然な感興に溢れている。ちょっと追いかけてみたくなりました。

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ロスのスカルラッティ

Wpcs21069スカルラッティ ソナタ選集(K.1,K.9,K.14,K.27,K.38,K.103,K.114,K.141,K.208,K.213,K.296,K.297,K.298,K.299,K.380,K.490,K.491,K.492,K.555)
ロス(cemb)
ワーナー WPCS21069

先日,東京に出張に行った帰り,東京駅まで来て,突然CDが買いたくなる禁断症状が出てしまった。こうなるとどうしようもない。駅の中にある小さなCD屋さんに入り,物色。クラシックの品ぞろえは,ベスト100系がいくつか置いてある程度で,そんな中から発掘した1枚。昔から気になっていた「スコット・ロスのスカルラッティ」。

ロスと言えば,スカルラッティの555曲のソナタ全集で有名。現在も34枚組で現役盤のようだ。このCDはその中から19曲が選ばれている。スカルラッティのソナタは,これまで何人かのピアニストのアンコールピースで聴いたことがあるくらいで,まとめてきちんと聴くのははじめて。似たような曲が何曲も続いていくのだろうな,とあまり期待せずに聴きはじめたのだが,全然そんなことはなかった。1曲1曲が個性的で,それぞれに存分に見せ場があって,19曲で小宇宙を形成しているかのよう。あまりに面白くて,何度も何度も繰り返して聴いてしまっているし,今後もしばらくへヴィ・ローテーションのCDとなりそう。

他との比較はできないが,ロスの演奏は,シャキシャキしたリズム感と,透明感のある音づくりが心地よく,胃もたれせずに何度でも聴ける。いずれ全集にも手を出してしまうかも。

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ラッススの合唱曲

2324ラッスス モテット『音楽は神の最良の贈り物』 ミサ曲『途方にくれて』 ミサ曲『シオンよ、汝の救い主を讃えよ』 レクィエム モテット『ああ いつくしみ深きイエスよ』 マニフィカト『正しきいとなみにより』 モテット『恵み深き救い主の御母』 モテット『アヴェ・マリア』
ブルーノ・ターナー(指揮) プロ・カンツォーネ・アンティクァ コレギウム・アウレウム団員 ハンブルク古い音楽のための管楽合奏団

DHM箱23枚目,24枚目。

このあたりになってくると,私の鑑賞力不足で,ああ,綺麗な音楽だな,といった程度のことしか書けないのがもどかしい。レクイエムはドラマチックな曲でびっくり。女声を用いずにカウンタテナーを使っているためか,響きが落ち着いているというか,ちょっとくすんだ感じなのが独特かな(たぶんこれは演奏のせい)。本当は,教会の中で一日中ぼーっとしながらこうした音楽に浸っている聴き方が正しい(?)ような気もする。作曲者は,この曲が500年後に東洋の片隅で,家族が寝静まった後の夜中におじさんがイヤホンで聴かれていることを知ったとき,何を思うだろう,などと,どうでもいいことをあれこれ考えはじめてしまうのは,もしかして作曲者の意図通りか?

ちなみにラッススは,16世紀後半の後期ルネサンス,フランドル楽派を代表する作曲家とのこと。wiki参照。

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